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2008年10月30日

1週遅れの先頭?

「芸術の秋」なんて言葉がありますが、
この時期、巷では、「Designers Week」やら、「Designtide」やら、やたらと“デザイン”の文字が目に付きます。
まぁ、“商い”の匂いもプンプンなんですが、
六本木の新名所、“六本木ミッドタウン”も負けてはいません。
グッドデザインに絡んだデザインイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」で対抗です。
で、そのイベントの中で行われていた、グッドデザイン受賞企業によるカンファレンスに行ってきました。
私が行ったのは、リコーデジカメのGRデジタルのデザイナーさんの講話です。
何度か面識のある人ですが、顔を合わせたのはものすごく久しぶり。
色々と興味深い話を聞けました。
GRデジタルは、銀塩カメラを祖先に持つコンデジですが、このカメラを機に、リコーのカメラのアイデンティティーが確立したとか、
それまでは、色んな独創的なデザインをしても、結局イマイチだったとか。
私の独断と偏見では、色々と模索してやってきた結果、結局、残ったのが定番のカメラだったのが、
「良いものを長く使う」というように変わりつつ時代の風潮とシンクロしてきたってー事じゃないかと思います。
昔ながらの定番が、一周遅れで先頭に立ったみたいな。
「定番」ってーのは、長い間使われて、経験の中で取捨選択されて残ったものなので、十分すぎる存在理由があるわけですが、GRデジタルは、最新の素材と技術で、定番の良さをさらに進化させたものとも考えられるでしょうか。
デジタル技術って進化が早いので、陳腐化も激しいのが通例です。
だから、時間の経過とともに価格は下降を続けます。
その為に半年も経てば、新製品が出てきます。
GRは、ファームウェアーのアップデートで製品寿命を維持します。
なので、モデルチェンジの期間も2年と異例に長いです。
デジタル技術を、寿命の延長に活かしてるんですね。
モデルチェンジでもデザインの変更は最小限。
殆どが、機能の改善に費やされています。
こういう製品開発の有り様は、日本の製造業では少なかったですが、
この点こそが、グッドデザインで評価されたポイントのようです。
一見、非常に地味なモデルチェンジではありますし、
デザイナーにすれば、非常に勇気がいるやり方ですが、
日本のプロダクトの歴史のなかで、分岐点となるような製品になる可能性もあるのでは?
なんて、えらそーに思ってしまいます。

投稿者 aw@bitlog : 2008年10月30日 22:07

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コメント

淘汰されて確立したデザインは、ユーザーにとって安心感がありますね。
それ故、デザイナーが新しい提案をしても受け入れられないことが多々あるのではないかと。
デジカメの場合、ニイサンが持っているOptioの方が機能とデザインがマッチしていて良いと思うんですが、わたし自身実際に購入するかというと……
ユーザーはわがままです(^^ゞ

投稿者 Nylaicanai : 2008年10月31日 08:21

どれがベストってことはないんですね。
洒落たバリアングルとして、OptioXは、最高だと思いますけど、カメラ本来の機能では、色々と不満もあります。
GRの、経験から来る良さの一つは、「真っ黒いボディー」ですね。
コンデジでは、こういった艶消しの黒デザインは、皆無だったわけですが、より本格的な一眼などでは、一般的です。
プロが使うカメラ機材は、三脚からケースまで、どれも真っ黒。
これは、言うまでもなく、明るい色のものの光の反射や、ガラスなどへの映り込みを少なくするためです。
カメラマンは、服装も、搬送用のクルマすらも黒に近い色を選びます。
普通のコンデジは、ファッション性を重視して、メタリックな色物が多かったですが、そこに、従来の定番の黒ボディーにこだわったのは、一つの特徴にもなっています。
偶然かも知れないですが、「定番を特徴に出来た」のは、非常に「ラッキー」というか、「うまくやったなー」って思いますね。(笑)
デザインってーのは、新しい創造の面白さもありますけど、時代のニーズや本質を読むというのも大事な仕事です。
そういう意味で、GRの開発陣は、いい仕事をしたと言えると思いますよ。

投稿者 aw : 2008年10月31日 09:17

素人のワタシが言うのもおこがましいのですが、
デザインというモノの形は、結局80年代後半から90年代初頭にかけて終着していそうに感じます。
皆さんプロの方からは、当然完成と言えないでしょうが大多数の素人=顧客の求めるものが
現時点ではその頃の形のリファインで十分満足で安心のようです。
機能てんこ盛りのコンパクトデジカメも、結局昔ながらのカメラ型
ようは使い捨てカメラ型しか売れてないわけですよね。
テレビも薄くなっただけだし、冷蔵庫なんて江戸時代から基本型は同じだし・・・
携帯電話も初期の頃の方が、いろいろ革新・確信的な形がありましたよね
折りたたみもあったし、細長いペンシル型もあったしで結局今に至るわけで、
人間考学(工学)なんでしょうね

投稿者 しんさん : 2008年10月31日 15:03

素材にしろ、エネルギーにしろ、ライフスタイルにしろ、絶えず変化していくものなので、「終着」というのは無いですね、たぶん。
今は、価値観が多様化して、新しいものも古いものも平行して評価されるようになったので、古くても価値があるものが見直されているんじゃないかと思います。
資源の高騰やカーボンオフセットの観点から、「永続可能な」モノづくりは、大きな潮流ですから、そういう意味で、温故知新状態じゃないですかね。

投稿者 aw : 2008年10月31日 18:47

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