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2008年05月25日

アンチスクーター派のためのベストバイク

「週末はトリッカーでならし三昧だぁー!って期待とは裏腹に、「マジ雨だぜ」との容赦ない天気予報。
ったく、「神はいないのか?」って感じ。
仕方がないので、お天気を睨みながら、近場でならし兼リポートを敢行しました。



【「Tricker」って?】

ご存知の通り、日本には4つのバイクメーカーがあります。
独断と偏見で言えば、 ホンダは、技術と遊び指向。遊びのための乗り物作りに熱心です。
カワサキ、スズキは、玄人指向。「モーターサイクル」の世界で、“濃い”製品作りが特徴です。
ヤマハは、いわば「素人指向」。GKデザインが関わる事もあってか、工業デザイン発想のバイク作りを感じます。
Trickerは、簡単に言えば、トライアル車的ファンバイクってとこですが、
モーターショーで発表されたコンセプトモデルをみると、 さらに、工業デザイン的解釈で発想し直したと想像出来ます。 曲芸的にどこでも走って遊べる乗り物を考えると、BMX的、トライアル車的なバイクになったってところでしょうか。
ってーのは、表向き、
っつーか、デザインコンセプトの話。
商品のコンセプトとして、「セロー」で成功した、バイクビギナーに入りやすいバイク作りの拡大路線じゃないでしょうか。
80年代に広がった、オフロードブームで、どんどん高性能なオフロード車が出てきましたが
ヤマハが次に考えたのが、入門クラスのバイク作りです。 それらの路線で生まれたセローやTWは、ブームと呼べるほどのヒットをしました。
その路線を整理して、オフロードはXT250X、トレッキングはセロー250、シティーラン+ BMXがTrickerって具合にしたんだと思います。
さらに、経営的発想でいえば、プラットフォームの共有によるメリットです。
この3台は、エンジン、シャシーと言った基本構成は同じ。
細部を異なるデザインでまとめ、より広い層に売っていこうという算段です。
自動車の世界では当たり前の戦略ですが、バイクでこれほどはっきりした「兄弟車戦略」は初じゃないでしょうか。
まぁ、こんなところがTrickerの概要です。
なので、一見デザインコンシャスな、ちょいとプレミアムな見た目に目を引かれることもあるけれど、
実は、巧みにコストを計算された製品といえるかも。

【やっぱ見た目でしょう】

見た目は、なかなかカッコいいです。
「X系」を狙ったというデザインは、「ナイキ的」というか、派手なスポーツシューズのようなデザインで、今までのバイクには見られなかったものです。
ジャンル的には、オフロード車ですが、多くのオフロード車が競技車をモデファイしたようなデザインで、町中ではやや“暑苦しく”感じたものだけど、このバイクは、“クール”です。タンク容量を削ってまでも、よりスリムに見せようとしたデザインは、良くも悪くもヤマハならでは。
なかなか新鮮で、成功しているといえるでしょう。

【またがってどうよ】

実際、車体はかなりコンパクトに設計されています。
ハンドルまわりやタンクの大きさは、またがった時の印象に大きく影響します。
ホイルベースは、セローよりも短く、タンクのスリムで、メーターまわりもご覧のようなコンパクトさなので、またがった時の印象は、50ccのオフロード車に思えました。
普通のオフロード車では、アップフェンダーで見えないタイヤが、ダウンフェンダーのおかげで見えるのも大きいでしょう。
またがるのも、楽勝。
バハでは、よほど大柄な人でないと、スタンドを立ててステッップに乗らないとまたがれません。
しかも、またがった後、両足でつくのはつま先だけ。(私比)
バレリーナかっつーの。(笑)
トリは、スタンドなしでそのまままたがれます。
平均身長の人なら両足がべったりと着くでしょう。
この安心感は大きいんです。
なおかつ、低重心というのも扱いやすさに寄与します。
ロードバイクであれば、当たり前のことですが、加えて「軽い」のは効きます。
セローやTricker は、女性ユーザーが多いそうですが、今までは「アンコ抜き」と呼ばれる、シートの肉抜きをして対応していたのが小柄なユーザーや体力に自信のないユーザーが飛びついたようです。
こういう扱いやすさは、ベテランユーザーにとってもうれしい事で、セカンドバイクとして買われるケースも多いとか。
普段は大排気量車に乗ってるけれど、日頃は小さくて扱いやすいバイクに乗りたい、でもスクーターはイヤ。
そんなベテランが選ぶそうです。
かくいう私もその一人。
大排気量ではないけれど、250としては大柄なバハは、高速や林道では、大きいが故に車体が安定していてとってもラクチン。
サスペンションのストロークも長いので、荒れた道でも座ったままで走れちゃいます。
なので、誰が言ったか「林道のカブ」。
まぁ、それくらいに、オフロードを楽に走れるってこと。
でも、小柄な人には扱いがたいへん。
足はつま先でツンツンだし、重心が高いので傾き始めると緊急事態です。
ホールベースも長く、ハンドル切れ角もトリより小さいので、取り回しも良いとは言えません。
まぁ、ハイズピードでオフロードを走る事を目的に開発されたものだから、仕方ないですけどね。
なので、通勤を含めた日常使用には、より小柄で扱いやすいトリを選んだ経緯があります。
ポジションは、低いシート、やや高めのハンドルで、日常使用で非常に楽です。
フットペダルが高くて窮屈という意見もあって、シートからフットペダル間での距離が短い感じ。
平均身長以上の人にはやや窮屈かも。

【走ってどうよ】

Trickerのインプレッションに良く使われる言葉が、「ひらひら感」。
軽くハンドルが切れて、車体を倒し込んだり起こしたりするのが非常に軽いことを言います。
バハなどは、もともとのジオメトリーが安定指向なのに加え、巨大なヘッドライトが2基も付いているので、ハンドルは、重めで粘り指向。
トリは、真逆。
いかにも軽そな小さなヘッッドライトもその軽さに寄与しているでしょう。
エンジンも同じ傾向。
7500回転で21馬力の出力は、250ccクラスのオフロードとしては、かなり控えめ。
バハは28馬力ですから、もう完全にひとクラス違う感じ。
トリは、最近のバイクらしく、排気音も小さくスクーターみたい。
性能も排気音も威勢がいいRFVCエンジンと較べるのは酷な感じすらあります。
モアパワーは感じますが、スムーズな扱いやすさは感じます。
このあたりは、ヤマハチューニングの良さでしょう。
クラッチもかる〜い。
バハは、メンテナンス不足もあってか、長時間走っていると握力低下でクラッチレバーを握りづらくなってきますが、トリならまったく問題なしでしょう。
ブレーキ性能は、正直低め。
バハから乗り換えると、「あれ?」ってほど効きません。
ディスクの外径を較べるとはっきりしますが、トリは、バハよりも一回り小振り。
明らかに、ワンランク下のブレーキです。
まぁ、エンジン性能も低めで、低い速度域狙いの車種だからってーのもありますが、
一応高速も走れるバイクとしては、もの足りなさを感じます。

「かかりが悪い」といわれていた始動性は、季節のせいか全く問題なし。
チョークレバーを引けば、セル一発でかかります。
燃費は、110kmでリザーブに入ったことから計算すれば、27.5km/L。
ならし中というわけで、一般道では25km/L以上には持っていけるでしょうか。
ならしが終わった後、どこまで伸ばせるか。

【プロモみたいに走れる?】

あのプロモーションビデオをみて、トリ購入に動いた人も多いとか。
じゃあ、あんな感じに走れるかってーと、まぁ上手い人ならね。(汗)
あのビデオを見ると、「トリッカーって、スッゲー軽そう!」って思う人がいるでしょうし、
メーカーも、「軽量」を謳ってますけど、それには、「最近のバイクの中では」って但し書きがつきます。
私が買った2004年型は乾燥重量が111kgで、実際に他の現行オフロード車の中では軽め。
でも、実は、私の90年式バハも同じく111kg。
トリより大きな車体で、高性能な4バルブエンジン、容量の大きなサスペンションやブレーキ、外径の大きなホイールとタイヤを持ちながら、重量が同じ、ということです。
バハは、バッテリを積まないキック始動車であることを差し引いたとしても、いかにバハが軽量であるかがわかります。
重心の低さとマスの集中で、バハよりもずっと軽くは感じますが、あのプロモーションビデオのように振り回すのは、かなりのテクがいるでしょう。
パワーがないのもつらい。
昔乗っていた水冷DT125なんて、たしか18馬力で、乾燥重量99キロでしたから、これなんかずいぶん振り回しやすかった記憶があります。
とはいえ、最も振り回しやすい1台であることは間違いないでしょう。

「 じゃぁ、なぜトリはこんなに重いの?」って疑問。
これは、おそらく、先に記述した「プラットフォーム」設計の弊害でしょう。
バハのリアサスペンションアームは、アルミですが、トリやセローは鉄製です。
バハのように専用の軽量部品でなく、兄弟車ごとに部品を作り分けるために、コスト的な制限となったものと思われます。
簡単に言えば、部品を作り分けて、たくさん売ろうって計画ゆえに、一球入魂できなかった、みたいな?
実は、こういった事は、国産バイクメーカー共通のジレンマ。
多品種を安く売って利益を上げる体質なので、性能や値段の点では及第点ながら、造り込みや、より高い走行性能というところで、海外の製品に遅れを取っています。モノとしての魅力が足りないんですね。
なので、より質の高い本物を目指す人は、高くても海外製品に走ります。
Trickerなどは、デザインの方向としては、質の高いプレミアム路線も狙えそうなのに、ビギナー狙いのローコスト路線も引きずっているところが出てしまっています。
もっとも、マーケッットやニーズが絡んでくる事ではありますけど、やや残念な点ですね。
軽量のアルミ部品、パワフルなエンジン、高品質なディテールなどで、今より10万円高くても売れる、となれば、文句なしに魅力的な商品になると思います。

【高速走行は?】

ハンドルが軽くて、ホイールベース短め、車重軽め、馬力なし、って事で高速向きではないです。
横風などの影響も受けやすいし、ブレーキもプアなのも怖い。
ガソリンタンク容量も6Lしかなく、4L消費したところでリザーブです。
高速で燃費がのびるバイクではないですから、おそらく100kmほどでリザーブになるはず。
これでは、心配。
何より、またがった時のコンパクトさゆえ、これで高速を飛ばす気にはなれません。私はね。
一般道をちょこまか走って楽しむバイクでしょ、トリは。

【で、買い?】

ずばり、「買い」でしょ。
つか、買っちゃし。(汗)
かつて125ccは、もっとも取り回しやすいバイクと言われてましたが、
チープな作りと高速に乗れない事がネックで、もっとも売れない排気量でした。
トリッカーは、 125以下の取り回しと、垢抜けた雰囲気があります。
疲れない乗車姿勢で、出遅れないだけの動力製のもあります。
アンチスクーター派には、これほど適したセカンドバイクはないでしょう。
とにかく、スピードを出さなくても、ちょこちょこと走り回って愉しめる軽快感は、クセになります。
まぁ、アンチスクーター派ってーのがそれほどいなかったのが、イマイチ伸び悩んでいる販売実績に現れているんでしょうけど、バイク好きとしては、売れてほしいバイクのひとつですね。


メーターまわりは、これ以上ないくらいにシンプル。
視覚的にも軽さ十分ですが、ハンドルを切る時の慣性の少なさも十分。

コントロールは性は悪くないけど、絶対的なストッピングパワーはイマイチ。
ディスクの外径に比例している?

今どきのバイクは、常時点灯とかで、キーオンで点いたまま。
キルスイッチで止めると、ライト点いたままです。
ま、安全上の措置でしょうね。
それにしても、この安っぽいスイッチは・・・。
なんとかなりませぬか?

フロントは、19インチで、リアは、珍しいサイズの16インチ。
専用パターンのタイヤなので、選択肢は少ないみたい。
このパターンを見ても、オン寄りであることがわかります。
ブロックは柔らかめで、減りは早いみたい。

21PS/7500回転は、絶対的なパワーはイマイチ。
でも、通常使用域では十分。
均し中なので、60km/hほどで押さえたマッタリ走りオンリー。
早く、フルに回したいです。

フロントフォークは、細目。
最近のオフ車は、倒立サスが多いので、なおさら華奢に見えます。
04モデルは、動きがややしぶいという批判を受けて、05以降は手を入れられたとか。
実際、初期作動がイマイチみたいで、コツコツといったはね方をする時があります。
試乗で乗った08モデルはスムーズでした。

工具は、ここに収まります。
反対側は、書類入れ。

シートは、ボルトで固定されています。
エアクリーナーは、このシートをはずして行います。

90年式、XLR250BAJA(MD22)と並べてみました。
シャーシ、ホイール、ブレーキ、サスペンション、エンジンパワー。
あらゆるものが、ひとクラス以上の差があります。
にもかかわらず、重さは同じ。
XLRは、いわば、競技車のXRをディチューンした系譜を持ちますが、
そういった素性の違いというのは、大きいです。
こうして並べてみると、大人と子供のような差があります。
それにしても、二台ならべて気がついたんですが、
性格の違いはあれど、オフ車を2台ってーのは、ちょっと偏りあり?(汗)

*実は、週末にトリを点検してたんですが、クラッチケーブルの傷みと、
フロントホイールのスポークの緩みを発見。
もう、何本もユルユル。
え〜っと、納車整備は?
とりあえす、直してもらえるとの事で、預けましたが、
この辺りが、「中古車のリスク」でしょうか。

投稿者 aw@bitlog : 2008年05月25日 15:20

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コメント

オニイサン 若い!!

でも、このレポートは経験が物語る?

投稿者 ネエサン : 2008年05月26日 01:20

素直に、「落ち着きない」っていってもらえば。(汗)
ネエサンのイベントはうまくいったでしょうか?

投稿者 aw : 2008年05月26日 06:19

イベントは無事終了。
素敵な人たちと知り合えたり、刺激いっぱいの週末でした。
私のブログに出品作品をアップしました。御一笑ください。(^^ゞ

投稿者 ネエサン : 2008年05月26日 09:05

お気に入りのようですね。
ヤマハのオフロード車の振り分けは的を得てる気がします。
TWを廃盤にしたのは、あのシェアはスクーターへ移行と読んだのかも。
アンチスクーター派>股で何か挟んでないと不安(笑)?
曲芸的な走行性能はイメージだとして、軽量・小振りなのは、かなり好感が持てるバイクですね。
他車に無いものを作る、ヤマハの真骨頂ですかね。

投稿者 路渡カッパ : 2008年05月26日 09:40

>路渡カッパさん

たしかに、的を射ていますね。
さらに上を目指すマニアには、WR250がありますから。
TWを落としたのは、勇気ありますね。
スクーター派とX系のトリッカーに分かれると踏んだんでしょうけど。
トリッカーいいですよ。
体力低下が明らかになって、やや焦りを感じているオジサンには、うってつけです。
ライトウェイトという点で、ロド乗りもシンパシーを感じるのでは?

#実は、昨夜、トリッカーを乗り回している夢を見ました。
もう、ウィリーやりぱなしで、まさにビデオのように乗りこなしているですよ。
「なんだぁ、ちょろいなー」ってブンブン振り回して。(笑)
ひょっとして正夢になる?(ならない、ならない)

投稿者 aw : 2008年05月26日 10:10

なに! セローとシャーシー(フレームですよね?)が一緒?

だったら、膝や足首が窮屈なことはないですか?
嫁がセローを買うといったとき、わたしにはかなり窮屈でした。
で、その時はホンダのDegreeをチョイス。
自分用にBajaがあったけど、やっぱり両方乗りたくなるもんね(^^ゞ

さて、次の檜枝岐はニイサンは二輪ですか。
頑張ってくださいね。

投稿者 Nylaicanai : 2008年05月26日 18:39

そうです。
セロー、XT、トリッカーは三兄弟です。
エンジン、フレームが同じです。
シート高の関係で言えば、セローより窮屈じゃないかな。
100km程乗ったけど、さほど苦にはならなかったですよ。
今度見せびらかしに行きましょうか?(笑)

桧枝岐は、社長がサポートカーになってくれるなら、
バイクでも全然オッケーですよ。

投稿者 aw : 2008年05月26日 19:18

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